4月に事前インタビュー取材をさせていただいたAPPRIVOISER(アプリポワゼ)、ショーの本番を観に会場の小山ロブレ6階 えるるOYAMA(小山市立生涯学習センター)まで行ってきました。
事前インタビューの際、ヘアメイクアーティストのJUNさんと、劇団TearMaria座長のアスカさんは、このイベントのテーマとして「Apprivoiser」という言葉を掲げていました。
フランス語で「絆を築く」という意味を持つ言葉です。
そして迎えた本番当日。
そこにあったのは、単なるヘアショーでも演劇でもない、人と人との関係性そのものを表現した特別な空間でした。
▷APPRIVOISER(アプリポワゼ)の事前インタビュー記事は
コチラから
第一部——”魅せる技術”を体験へと変えるヘアショー
第一部では、ガモウ・ミルボンとのタイアップによるヘアショーが行われました。
完成形だけを見せるのではなく、
「ここをこう切る」
「今こういう意図でハサミを入れている」
と、一つひとつの工程を丁寧に解説しながら進行。
美容師の技術は本来、とても繊細で専門的なものです。
スクリーンに映し出された完成イメージと実際の施術が重なり、来場者は“変化していく過程”そのものを楽しんでいました。
しかしこの日のステージでJUNさんが伝えようとしていたのは、単なる技術そのものではありませんでした。
「なぜその長さにするのか。」
「なぜその角度で切るのか。」
普段サロンワークの中では言葉にすることの少ない“こだわり”や“考え方”を、一つひとつ来場者に届けていたのです。
完成したヘアスタイルだけを見るのでは気づかない美容師の視点。
その背景にある想いや技術を知ることで、来場者は完成したスタイルの先にある「なぜそうするのか」というJUNさんの考え方に触れていました。
開演前から会場を盛り上げ続けるJUNさんのトーク力も相まって、会場は終始引き込まれた空気に包まれていました。
そしてその“変化していく過程”を共有する時間は、これから始まる第二部で描かれる『Apprivoiser = 絆を築く』というテーマへと、自然につながっているようにも感じられました。
第二部——星の王子さまを超えて生まれた新しい物語
第二部は、劇団TearMariaとのコラボレーションによる「演劇×ヘアショー」。
ベースとなったのは『星の王子さま』です。
ストーリーが始まると、単純に物語をなぞる舞台ではありませんでした。
JUNさん演じる“美容師版・星の王子さま”を軸にしながら、ダンス、演劇、ヘアメイクが融合し、一つの作品として再構築されていました。
特に印象に残ったのは、劇中に散りばめられた多彩な表現です。
スタジオS主催のタヒチアンダンサー yukiによる、観客参加型のタヒチアンダンス体験。
演者全員が全力投球!
そして物語にさらなる彩りを添えていたのが、ダンサーたちによるパフォーマンスです。
会場の空気が一変するほどの存在感に、思わず息を呑んだ来場者も多かったのではないでしょうか。
演劇の内容を細かく語るよりも、その場でしか味わえない空気や熱量こそが、この舞台の魅力だったように思います。
主役は一人ではなかった
事前インタビューの中でアスカさんは、
「劇団員たちが全員主役としてちゃんと関わり、何より楽しむことが一番。」
と話していました。
今回の公演を観て、その言葉の意味を実感しました。
ステージ上では、一人ひとりが自分の役割を全力で楽しみながら演じていました。
誰か一人が目立つのではなく、それぞれの個性が重なり合って作品をつくっている。
そんな空気が会場全体に広がっていました。
”APPRIVOISER”は舞台の中だけの言葉ではなかった
今回の公演を観ていて感じたのは、「APPRIVOISER」というテーマは物語の中だけに存在していたわけではないということです。
JUNさんと劇団TearMaria。
劇団員と来場者。
ダンサーやスタッフ。
そして会場に集まったすべての人たち。
それぞれの関係性が積み重なった先に、この舞台が生まれていました。
演者たちの楽しそうな表情が印象的だったのも、その背景にある関係性が自然と伝わってきたからかもしれません。
おわりに
ヘアショー、演劇、ダンス。
ジャンルだけ見れば異色の組み合わせです。
『APPRIVOISER』で表現されていたのは、ジャンルの融合だけではありませんでした。
人と人とのつながりが新しい表現を生み出し、その表現がまた新たな縁を生む。劇中で“キツネのコンコン”が語っていたように、絆を築くためには時間が必要です。
JUNさんとTearMariaの出会いも、劇団員の皆さんとの関係も、そして今回の舞台そのものも、そうした時間の積み重ねの中から生まれてきたものでした。
そんなメッセージが、舞台全体を通して熱く語りかけられていたように感じます。
「APPRIVOISER―絆を築く」という言葉。
その意味を、来場者それぞれが自分なりに感じ取った時間だったのではないでしょうか。
おまけ:APPRIVOISER 舞台裏
”自惚れ屋の星”の王さまの背中には、美しい一本のバラ🌹が咲いていました。
きめ細やかな演出が細部まで施されています。